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北村早樹子連続企画『気配』Vol.2 ×劇団SWANNY第1.5回公演
北村早樹子の「アイドルになりたい」 作・演出:千木良悠子 振付:寺田未来 衣装・アートディレクション:るみたん ■日時:2012年2月17日(金)19:30open/20:00start ■場所:東中野ポレポレ坐 http://za.polepoletimes.jp/ ■出演:北村早樹子、千木良悠子、寺田未来 ■料金:予約3,000円 / 当日3,500円(ワンドリンク付) ■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社) Email : event@polepoletimes.jp 歌手の北村早樹子さんといっしょに、初の試みですが、コントを作ってみようと 思っています。参考のために、年末年始はYou Tubeで「バナナマン」の奇跡の ように素晴らしいコントを見たり、芸人が相方を交換してコントをやるTV番組 「ドリームマッチ」を見たり、AV女優がノーパンでカルタ取りをするビートたけし の番組を見たり、調査研究に忙しかった。早樹子さんが、「私、じつはアイドル になりたかったんです〜」と以前に言ってたので、そういう粗筋の台本を書く つもりだったんですが、先日聞いたら「じつはアイドル興味ない」と言ってて、 どっちだか分かりません。ダンサーの寺田未来さんを振付師としてお迎えして、 笑いありダンスありのミュージカル風の作品にするつもりで、もちろん早樹子さん の歌もあります。盛りだくさんだね。どうぞご期待ください。( 千木良悠子 ) 【プロフィール】 北村早樹子(きたむらさきこ) 1985年大阪生まれ。高校生の頃からピアノを弾いて歌いはじめ、 2006年にファーストアルバム『聴心器』を、 2007年にセカンドアルバム『おもかげ』をチューバディスクよりリリース。 2008年、上京。2009年、木村文洋監督の映画『へばの』の主題歌をつとめる。 2011年、豊田道倫氏プロデュースによるサードアルバム『明るみ』をwarabisco舎よりリリース。 最近では定期的に、一切どこにも放送されない完全現場型ラジオ番組「きたむらじお」なる活動をしたり、松本亀吉氏発行の『溺死ジャーナル』に私小説的な文章を発表したり、手作りシングル『マイクを握って』を自主制作したりしている。 千木良悠子(ちぎらゆうこ) 作家。劇団SWANNY(www.swanny.jp)主宰。 著書に「猫殺しマギー」、「だれでも一度は、処女だった。」など。 ![]() # by chigirayuko | 2012-01-26 18:31
お酒を飲んでるときに何をしゃべったかって覚えてない人が多いと思う。
いやみかもしれないけど、先週のある夜にみんなが何をしゃべっていたか、メモを取ってみました。 『居酒屋大学講義ノート』 ・営業事務系のOLさんが、自分の会社で起こった出来事をいろいろと教えてくれた。 彼女の会社の社長は、たいへん武闘派らしく、部長も課長も怖れ戦いているのだが、水商売をやっていた経験もあって笑顔がすてきな聞き上手の彼女には、社長も心を開いており、社長が彼女にどんな世間話をしているかが、社長の機嫌が良いかどうかのバロメータになっているらしい。男社会を渡り歩く勤労女性の面目躍如という感じ。 当たり前だが、会社っていうのは、本当に地位と権力が物を言うところなのだね……と、ちゃんと就職したこともなく、体育会系部活などにも所属したことがなく、そういう上下関係を極力避けてきた私は非常に感心した。権力に免疫がないので、振りかざそうとする人がいると過剰に反応してしまうのだが、身近にあれば、なかなか観察し甲斐のある題材なのかもしれない。 この前日も、政治記者の酔っぱらいの方が、「どんなに志の高い政治家でもねえ! 赤絨毯を長年歩いて、先生先生と呼ばれれば、変わってしまうんですよ!」と吠えているのを聞いて、興味深かったし……。一体何があったんだろう。 ・最近、識者の面々は、「Big Daddy」というTVの大家族ものに出てくるパパに注目しているらしい。私はけっこうTVを見るけど、大家族ものはなんだか惨めな気持ちになるので見ない。貧乏が惨めなのではなく、貧乏だけどこの人たちこんなに頑張ってます、という打ち出し方する番組に惨めな気持ちになる。けれども、こんな感想ってもしかしたら子供っぽいのかも。 高校生くらいの時、正月に親戚が集まって、近所のうわさ話ばかりしてるから、「下品だからやめなよ」と言ったら、「ばかやろう! 子供にはわかんねえだろうがよう、年取ったらなあ、こういう話が一番、面白いんだよっ!」って怒られたことがあって、大人って凄いなあって思ったことがあった。 ・Big Daddyの話をしていたライターさんは、好きな人に電話番号を渡すときパンツに書くんだそうです。超積極的。有名韓流スターにそれで渡した話をしていたから、もっと詳しく教えてとせがんだが、ダメだった。 ・ウェス・アンダーソンの新作は気狂いピエロの完全パクリだけど、面白そうだし予告がカワイイ、という話 ・いつもよく会う、めんどくさい酔っぱらいのおじさんがいて、その夜は新人の若いスター俳優のことを、「あいつを小さいうちからあんなに褒めたたえて甘やかしたらダメになる」と心配していた。 でもそのスター俳優は、最近ベネチア映画祭で賞も取ったくらいで、別に甘やかしてるわけじゃなくて、単に実力を認められてるだけなんじゃないかな〜〜と私は思ったのだが、めんどくさいので何にも言わなかった。店のマスターのゆうや王子は、「うんうん、分かるよ。でもあいつ(俳優)はしっかりしてるから大丈夫」とおじさんをなだめていて、本当に偉い。私はああいう聞き上手には多分一生、絶対になれない。申し訳ないけど多分一生絶対に無理。 ・ベルギーから来た外人さんと、その外人さんを店に連れてきた日本人カップル。初対面だったらしく、日本人の男性、お会計のときに、ベルギー人にうまいこと言って、多く払わせようとしてたっぽかった。 ゆうや王子、日本人男性が帰った後、「あいつは曲者じゃないかとつねづね思ってた」、私「どこが?」、ゆうや王子「うーん、目つきがかな」。どういう意味で言ってるのかもっと聞きたかったけど、王子は多くを語らずに、私を置いてけぼりにして颯爽と自転車で消えた。すんごく酔ってたっぽい。 <今週の講義の感想> 居酒屋大学には、日々ヘンテコな講師が現れて、意味のとりづらい講義をし、講師のくせにお金を払っては、ふらふらと左右に揺れながら帰って行く。 この大学では、何が嘘で何が本当か、何が正しくて何が間違っているのかを、はっきりと教えない。人は言葉通りではない、というところが講義の眼目であるらしく、人々の話の真偽を見極めること自体が、実地研修的な授業の一環であるらしい。毎授業、体当たりで学び取っていかねばならず、鑑識眼が狂うと大怪我をすることもある。 (怪我の実例としては以下のような恐ろしい事件に巻き込まれることが……ex.お金を騙した騙された、はれたほれたで大失敗、ダサイことを言って物笑いの種になる、絡まれて暴力沙汰にetc.……なんと恐ろしい……大学構内においては、みんな酔ってるから、キャンパス外での常識が通用しないことがある。) 一方、逆に、授業中に教室内が異常なまでの興奮に満ち溢れ、出席生徒全員が猛烈な多幸感に包まれることもあるのだが、これも居酒屋大学特有の現象であり、次の瞬間には、盛り上がりがいとも簡単にかき消えていることもあるから、油断できない。ともに興奮を味わった生徒同士で「あのときは……」なんて言っても、大抵覚えてなかったりする。大学では他の生徒との学習内容のシェアは困難であり、各生徒の学ぶべきカリキュラムが大幅に違うことも多いので、注意が必要なのだ。 ゆえに当大学においてはカンニングは非常に困難。学びの道は、一人で歩く一本道。 は〜〜〜、なんて大変な居酒屋大学の学生たち!! # by chigirayuko | 2012-01-25 23:58
今週の先週日記。
ブライアン・イーノの1995年一年間の日記「A YEAR」がアマゾンから届いたのでずっと読んでいる。内容は個人的すぎてわからないところだらけだが、とっても面白い。私は不思議に思う。 どうして、他人の日常生活についての、些細な記録をこんなに楽しく読めるのか。 もっと面白くって、ためになって、内容もよくわかる本は世の中にぎょうさんあるだろうに、私は長い時間をかけてこの本を読んで「わからないなあ」と思いながらも内心ワクワクしているのか。 抜粋 「ラッセル(・ミルズ)のオープニング。かれのこれまでの最高の絵。1枚買った。ポール・マクギネスから電話、カリーがフランスまでいっしょに来てバンドのミーティングに出てくれないかとのこと。クリス・ブラックウェルとポール・マクギネスは、『レコードがU2ファンを混乱させるのではないか』と心配している。ふと思うのだが、かれらとしてはこのプロジェクトがおとなしく消え去ってくれたら非常にありがたく思うのではないか。」 ここに出てくる人たちをだれひとりとして知らないのに。私はU2すら聞いたことがないのに。エジプトへの船旅、二人の娘と遊ぶ様子、ポレンタとニワトリを料理したという記述、何もかもに憧れと郷愁を感じる。95年、自分は16歳だった。でもこの本の中の95年はまるで希望に溢れた近未来の一年間のよう。 月曜日、レディ・ジェーンで石橋さんと山本達久のセッションを見る。セッションのライブ久しぶりで嬉しい。英子さんに日本酒をご馳走してもらう。kymaという機械の説明書がメチャ分厚い。 火曜日、とんでもない美人に会ってびっくり。育ちの良さが物腰に滲み出ている。人を疑うことを知らない深い森に住む子鹿ちゃんのよう。彼女、魚民で飲むのは初めてとのことで「なんでこんなに安いの?」だって。「ローマの休日」かよ! 水曜日、北村早樹子ちゃんとチラシの写真撮影。また魚民に行って色々話す。来月いっしょにやるコントの内容、まだ決まらない。ブライアン・イーノの「オブリーク・ストラテジーズ」を引いたら、「Remember...those queit nights」と出てきて、意味がわからない。けれどもこれが創作の道標になるらしい、そういうものらしいのだ、オブリーク・ストラテジーズ(イーノが開発した創作者用の箴言カード)は。 木曜日、タコと里芋の煮物を作ってダーリンへ。酔っぱらいのおじさん「かおるさん」の「幸せに生きるためにはね、嫌いなやつとは飲みに行かないこと!自分に正直でいること!それだけ」という発言に不思議な感動を覚える。かおるさんはもう六十近いただの酔っぱらいのおじさんだけど、まだまだ「カッコイイ年寄りになりたい」らしい。目標を持つのは大事と思った。 金曜日、ダーリンでまた心温まる人情話が……。常連Tのことを常連Sが「あいつはキリストだ」と評する。 土曜日、デ・パルマの「愛のメモリー」を見て泣いちゃった。 日曜日、メチャクチャに酔って知人の誕生日会に参加した。もう一軒、連れられてゴールデン街のお店に行ったら、指輪に出演してたアリシアが店に立ってて、行くとこ行くとこで知ってる人に会っちゃって、夢の中みたい。 他に今週見た映画は、「フレンジー」「ジャンヌ・ダルク裁判」「ベイビー・オブ・マコン」などでした。 # by chigirayuko | 2012-01-16 21:02
2012年最初の先週日記です。
大晦日はけっきょくダーリンで過ごしちゃって、常連さんたちとラジオの紅白を聞きながら、ワンセグでテレビの紅白の映像を見るという貧乏っぽい、アットホームな年越しをした。ダーリンのいちことゆうやさんに「もう家族だね♥」と言われた。ゆうやさんは、何かのテレビ番組見てて、どっかの中小企業の社長さんが、社員たちに「われわれは、社員じゃない!もう、家族なんです!」と演説してたのが、いたく気に入ったとのことで、その夜何回も「家族だ!」と言っていた。 1日は、良いらしいと巷で噂だった、バナナマンのコントを初めてYou Tubeで見て、いたく感動した。私は「スライドボーイズ」っていうのが気に入ったので、興味ある方はぜひ見てみてください。 2日はこれも良いらしいと巷で噂だった、「歴史は女で作られる」っていう古い映画を渋谷のイメージフォーラムに見に行った。超よかった。ダーリンの同僚のカヨさんにばったり会って、プロントでパスタを食べてたら、新宿で飲み会やってるよっていう浮かれたメールがカヨさんの所に入ってきたので、合流してカニみそとか食べました。「俺の友達に童貞がいるから呼ぼう」と一人が言い出して、呼んで待ってたんだけど、何時間経っても全然来ないから、みんなでイライラしながらネットで探したクイズとかやって、本当につまらない無駄な時間を過ごしたのがとても思い出に残りそう。 正月から幸先が良いなあと思いました。 他に先週は「タンタンの冒険〜ユニコーン号の秘密」とか見ました。私タンタンとかあんまり知らなかったのですが、すっごい気に入っちゃった。何より3Dで見たので、家が潰れて山を流れ落ちてくるところとか、「うわーっ」って声に出して叫んじゃった。映画黎明期にリュミエール兄弟か誰かが、機関車の走ってくる映像を撮って流したら、びっくりして映画館を飛び出しちゃった人がいっぱいいたっていう話があった気がするけれど、自分も昔の人と全然変わらないじゃんと思って、一人で恥ずかしかった。 あと池ノ上の「光春」という美味しい台湾料理屋で友人B子と紹興酒を飲んだりしたのが良い思い出です。カラスミの炒飯っていうのを初めて食べた。 次回のお芝居を作るためにエリック・サティについてなんかかんか調べてて、図書館で本を借りたりしている。サティはとても面白い文章を書いている。「めまいについて」という文章がとても気に入って、自分が書いたのではと思えるくらい共感した。コピーして引き出しにしまっておこ。。 1/8には渋谷のWWWで石橋英子さんとジム・オルークさんのライブがあったので、見に行きました。新曲がめちゃくちゃ良かった。英子さん次のアルバムはプログレらしいです。 ![]() 次のライブではこういう服↑や ![]() こういう服↑を着てくれるかもね。 先週日記にするといっぱい書くことがあるなあ。 いい感じです。 # by chigirayuko | 2012-01-10 17:13
このところ、毎日更新にチャレンジしてたのですが、全然無理でした。
知人にアーバンママという天才がいまして、彼女が良いアイディアを出してくれて、「ゆうこの先週日記」にしてはどうかと。一週間のことを思い出せる範囲でまとめて書くのです。 それいいなあと思って、2012年は「先週日記」やってこうかと思っています。 だんだん「先月日記」とか「去年日記」になりそうですが。 毎日日記を書くのはいいんだけど、誰に会ったとか何をしたとか全部書いていると、人目がありますから。もし、私と会った人がものすごい犯罪者で警察に追われていたとすると、私のブログのせいで、アシがついたりする可能性があるわけです。そのとばっちりで、私がマフィアに追われたりしたら、損ですから……。 それになるべく、普段何をしてるかわからない、ミステリアスな女に見られたいという願望がありますから……。いつも下北をウロウロして、何したかっていうと、ビデオ一本借りて帰ってくるだけというショボい日常を送ってることがバレてもあれなので……。そこらへんをぼかしやすいように、更新していきたいと思っています。 慌ただしい年の瀬ですが、自分は急にブライアン・イーノにはまって、主にWikipediaでイーノのことを調べるのに忙しい毎日です。皆さんは来年、どんな年にしたいとお考えでしょうか。 もうあと数時間で来年ですが、SWANNYでは2月と夏ぐらいにお芝居をやる予定です。今、ロックスターらのおもしろ豆知識をググっている地味な時間が、そちらに反映されればいいなと思っています……。 あと2012年は、満を持してついにユーモア小説家として再デビューするつもりです。読者が涙を流して腹を抱えて笑うような、セルバンテス「ドンキホーテ」より面白く、「ドンキホーテ」でも販売されるほど大衆に訴えかける、傑作ユーモア小説をものするつもりですので、乞うご期待ください。……と書くのは自由だ! 今年はSWANNYも立ち上げまして、ひときわ周囲の方々にお世話になった年でもありました。皆様に感謝するとともに、どうぞ良い新年をお過ごしいただきますよう、お祈り申し上げます。 # by chigirayuko | 2011-12-31 19:12
畑に行って、穫れた野菜で鍋をやった。小松菜やかぶを茹でただけなのにおいしかった。来たときはちょっとイライラしてたのに、帰るときはやたらとさっぱりした気持ちに。
畑をやりはじめたのは今年の春先からだが、やってみてイヤだったことって、一個もない。人んちの庭のちょっとしたスペースに野菜を植えて、暇なときに通って、水やったり虫取ったりしてるだけなのだが、植えると何か生えてるし、食べれば美味しいし、良いことずくめなのだった。 # by chigirayuko | 2011-12-22 17:29
新宿で上海蟹を食べた。赤い蟹とグレーの蟹がいて、もしかしたら茹でたのと生のと二種類あったのかもしれないが、違いを聞かなかったので良くわからない。二日間の徹夜明けだったので、朦朧としていた。知人含めた、十人あまりの同窓会的な、忘年会的な催しで、蟹が食べたかったので参加してしまったのだが、同窓会に同窓生じゃない人間が参加すると、やはり話についていけず、蟹の味もよくわからなかった。せっかく誘ってもらったのに、あんまり楽しくなさそうにしてるのも悪いし、でも途中で帰ったらもっと感じが悪いしなあというジレンマに陥って、結果的にすごく悪のオーラを発していたに違いない。一同が食べ終わってものんびりしてるので、私がお会計集めてさっさと帰るわよ的なことを言ったら、みんなのろのろと動き出した。酔っぱらいって動きが遅いが、お金の話して、強めの声で号令かければ、けっこう意のままに動く。この力を利用すれば、世界征服もできるかもしれない。
# by chigirayuko | 2011-12-22 17:11
ダーリン六周年記念パーティの二日目でまた朝八時まで働いた。
十一時ごろの皆既月食を、客や店の人たちといっしょに見た。 ええ感じでした。 ![]() 月食を見るタイガーマスク ![]() みんな見てる # by chigirayuko | 2011-12-14 17:21
ダーリンの六周年記念パーティでした。
お酒は飲み放題三千円、おでんとチリビーンズと野菜スティックなんかも出した。 すんごい盛り上がっていた。 朝の七時になっても、八時になっても、あちらからこちらから、酒を求めて人が集まってくる。半分くらいは、同じようにゴールデン街でお店をやっている人だった。 店をやってる人同士がお互いの店を行き来して、持ちつ持たれつ、で成り立ってるのがゴールデン街なのだ、とマスターは言う。だから、お互いの「周年」パーティはとても大事な日であり、必ず顔を出さないといけないんだって。そのための三千円はちっとも惜しくなく、たとえ時間がなくてビール一杯しか飲めなくても、全然構わないのだそうだ。普段ケチんぼうな人も「周年」とあらば、サッと飲んでサッと帰る、その分自分の店の「周年」のときに来てもらって、お金を落としてもらう、というシステムなんだって。 部外者にはよくわからない……不思議な村の掟のようなものが、あの街にはひっそりと存在するのだ。 夜明け前までは、お得意さん常連さんがどんどんやってきてたけど、夜が明けた後には、ゴールデン街のお店のママさんやマスターがカウンターにずらりと顔を並べた。 店のママさんをしてる人って、あまりこれまでに会ったことのない人種だ。みなさん個性的で魅力的で色っぽく輝いてるのだけど、女優ともミュージシャンとも違う輝き……妙な迫力があるのだった。 朝方に、私がアクビしたら「こらー!アクビしちゃだめよー!」と叱咤してくれたママさんがいた。大皿にサバの梅煮を盛って来てくれた年配のママさんもいた。昔は九十九里に毎日通って、魚の籠と水槽を担いで、店で出す新鮮な魚介を仕入れていたそうです。すごい美人で色っぽいのに、47歳で、大学生の娘がいるとしゃべってたママさんは、ずっと隣のお客さんにしなだれかかっていたんだけど、全然いやらしい不自然な感じがしなくて、コメディのお芝居してるみたいだった。 ゴールデン街には本当のことなんて何ひとつないのよって一緒に働いてる女の子が帰り際にコッソリ教えてくれた。 「私は陶芸家の娘なんだけど、父親は大事な器を作る時は、全部雑音をシャットアウトして、作業場に籠っちゃっていた。そうやって作品の純度を高めていた。この生活は毎日が嘘ばっかりで、本当のことは一つもなく、全てがくっだらないばか騒ぎだけど、嘘の純度をどんどん高めてったら、いつか別のものが生まれてくるのかもしれない……」 的なことを、彼女は朝の十時にふらっふらの半睡半醒で、呂律の回らない舌で、言ってたように思うけど、「あ、違う、違う、そうじゃなくて、私何言いたいんだっけ、アハハ……もういいや……」等々を随所に挟みつつの会話だったので、もしかしたら全然違うことを言ってたのかもしれない。 結局店を閉めたのが朝九時半ぐらいだったのです。帰り道の空が超青かった。 # by chigirayuko | 2011-12-14 16:38
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