先週日記
 先週日記、だいぶ長い間続けてきましたが、毎日何してたかインターネットに書いてしまうと、大したことしてないのが分かっちゃって恥ずかしいので、しばらく、その週何やったか等を、なんとなくまとめて書いていく方針に変えてみよかと思っています。

 お正月から4月末まではずっと小説を書いていた。今までチャレンジしたことのない長さだったので、書いても書いても終わらず、これ本当に完成するのかしらと思ってたんだけど、決めていた枚数書いてちゃんと終わったので、ほっと一安心でした。まだたくさん改稿すると思うけど、300枚書けたなら1000枚、2000枚も夢ではないのではないかとホクホクしている。フォークナーの「響きと怒り」のような重厚かつ攻めた小説を……いつかは書けるのではないかと……無理かな……でも夢は大きく、腰は低く謙虚にね。
 
 なんで突然フォークナーが出てきたかと言うと、今、ちょうど短編集を読んでいるのだ。大学のときアメリカ文学科専攻で、フォークナーの「A Rose for Emily」について研究発表をしたことがあった。当時は、時間の流れ方が進んだり戻ったりしてて構成が奇妙かつ巧妙だ、って分析をした気がするけど、読み返してみたら、それより何より全てが凄いという気がした。エミリーって一人の女の人の生涯について語っただけで、舞台となってる19世紀アメリカ南部の街の、過ぎ去ってもう戻らない一時代がトータルで語られてしまってるっぽかった。そんだけ強烈な人物像を創造したのも凄いし、文章全体が熱くて野蛮でダイナミックだし、こんなに野蛮なものを書くのは、軟弱なスマホ生活の現代人にはなかなか難しいだろう。しかし大学生の頃はけっこう難しい本を読んでいたなあ。本当にちゃんと読んでいたのかなあ。「響きと怒り」の兄と妹の禁断の愛のシーンに泣いたりしていた記憶があるのだけど、どこまで分かっていたのか……。映画の脚本も書いていたというフォークナーの短編集はかなり描写が映像的で、活字を漫然と追ってると、「えっ、だれがだれで、ここでどうなったの?」って、分からなくなることがあるのだ。翻訳の問題なのかもしれないけど……みんな、こんなのよう読むよ、短編でも読むの骨折れるよ。

 編集者さんから本をたくさん貰ったので、なるべく読もうと思って順番にチャレンジしている。絲山秋子先生のを4冊読んだけどどれもすごく面白かった。野田秀樹先生も超頭良い。目下、古井由吉先生に挑戦中……人間が物事を認識する、そのあり方について、根底から考えを覆されるような驚きを一文ごとに味わわされて、なんというか、ページが進みません……。小説も戯曲も、読みつけてないとどんどん読めなくなる気がするし、ある程度スピードつけないと頭に入らない。編集者さんがやたらと原稿読むのが早いんだけど、あれは、日々読み慣れてるからだなあと思う。好きな作家以外の小説は、大学卒業して以来、あんまり読んでいない気がする。慣れてしまえば、たぶんまたペースつかんで読めるようになると信じて、リハビリがてらいろんな人のを読んでみている。
 
 映画は、イメージフォーラム・フェスティバルで、ヤン・ファーブルの出ているドキュメンタリーと、ジャック・スミスの「燃え上がる生物」、「ノーマル・ラブ」、「ノー・プレジデント」を見た。見たかった作品ばっかりで、しかも、友人たちと横並びでワイワイ見られたので、本当に嬉しい。十年前くらいか、スーザン・ソンタグの『反解釈』を手にした私は、「この本が好きだ」と全然理解できないのになぜか心に決めてしまって、図書館の読書室に持ってって傍線引きながら読んでいて、ジャック・スミスやロベール・ブレッソンやピーター・ブルックという名前を覚え込んで一人で悦に入っていた。たぶん今よりもさらに孤独で辛かった時期でしょう……それがですよ、こうやって、友人たちと「ジャック・スミス上映されて良かったね」「面白かったね」「あれって何の意味があるの?最後のシーンはやっぱベトナム戦争のメタファー?」「意味なんてないよ、そんな貧乏臭いもんじゃない、もっとずっと野蛮なものでしょう」とかって言い合える!! 言い合えるんです!! 途中一瞬ちょっとウトウトしたけど……。これってあれじゃない、夢は信じれば叶うっていうことじゃない!? ワーイワーイ!昔の自分に教えてあげたいな〜。線引いて図書館でソンタグ読んでて良かったね。あんときゃ辛かったね。今もそう変わんないけど、ああいう意味の分からない一人っきりの戦いのような時間にはとびきり大切な意味があるんだよね、と昔の自分に言って肩組んで酒でも飲みたい。

 


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by chigirayuko | 2014-05-13 00:18
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千木良悠子の日記です。
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