5日目 (09/2/6)
きのうの家主さんがあまりにも親切だったため、力が抜けてしまった。
漂泊の家出人気分が一挙に薄まって、「ずっとあの黒猫のいる家に、いさせてもらえば、いいんじゃないのか?」という、都合の良い依頼心が生まれてしまったのだ。
ぼんやりと千歳船橋駅前のフレッシュネスバーガーに入り、ホットドッグとコールスローサラダとレモネードを頼む。1000円くらいした。
お金がなくなっちゃったら困るから、と思って道で拾った求人誌を眺める。
「パーツモデル」、一時間五千円だって。いったいなんのことだろう。エロいやつかな・・・? 漠然と不安に浸される。どこかに行かなきゃ。駅に入った。
音楽でも聞こうと思い、i-podを耳にはめたら、荒井由美がかかった。
「遠い波のかなたに銀色の光がある 永遠の輝きに命の舵を取ろう」
うわあ、危ない。ほんの一瞬だけ、ふらーっと線路に落ちてしまいたくなった。この曲のこの歌詞、そういう意味だったのか。よく聞くと、荒井由美の「コバルトアワー」というアルバムは、漂泊と死について歌った曲ばかりだった。
羊屋さんに電話、夕ごはんを一緒に食べてもらうことにした。

再び千歳船橋に戻ってカレー屋さんに行く。豆のカレーを注文、NYの話などいろいろ聞く。
「演劇はいいなあ。本番があって。ずうっと机の前に座って文を書いてたりすると、自分の中でぐるぐるしちゃって、何を言いたいんだかすぐわからなくなる」
と私が言ったら、羊屋さんは、「私、最近、講談も聞くんだけどね」と言って、アル中の講談師さんが「文筆業の人は、家でいくらでも酒が飲めていいなあ」と言ってた話をしてくれた。
「人前に立つ仕事だから、酒を飲んだら本番に行けない。それに比べると、小説家なんかはだいたいアル中になるけれど、それで仕事ができるんだからいいなあ。あれは同じ場所にずっといるから、トリップを求めるのだろう」と言ってたそうです。
「中島らもさんなんか、プール一杯お酒を飲んだっていうものね。東京ドーム、とかじゃなくて、プール一杯、っていう表現がかわいいわね」
私も、いろんな人んちに行って、トリップしたいのだろうか?でも、別に沖縄旅行とか行きたいわけじゃないのはどうしてなんだろうか。金がないからだろうか。

昨日泊まった友人もやってきて、私とおんなじカレー食べてた。
「まだ千歳船橋にいるとは思わなかった」と言われた。
「ちぎちゃん、よく考えたらずっと世田谷区をうろうろしてるだけじゃん!」
「きのう、中野区にも行ったよ!?」
「そりゃ、偉かったね。あ、よかったらうちの実家とか行く?鳥取だけど。きっともてなしてくれると思うよ」だって。それもいいけど・・・。


代田橋在住のAちゃんに電話。「家出っていい企画よね」と、快諾してくれた。
下北沢の焼き鳥屋で飲んでるというので、迎えにいった。ひらりん、おはらっぱーという男子がいて、四人でちょっとだけ飲んだ。ひらりんに「パーツモデルって何?」とたずねると、「エロいバイトするのか!」と興奮。おはらっぱー、「千木良の好きな男のタイプは?」と聞いてくる。「のっぽさんが初恋の人だった」と打ち明けると、「のっぽさんのキャラはテレビの醸し出すイメージだろう!現実の男をもっと見なきゃだめだ。たとえば、オレのような」などとアプローチされる。みんなべろべろで、よく話がわからない。愛ちゃん、仕事で徹夜続きだったらしく、すぐにつぶれる。
Aちゃんを抱えて、全員でタクシーに乗る。
ひらりん、タクシー代も飲み代もおごってくれた。「お金いいの」と言ったら、
「パーツモデルとか、へんなことやったら、土産話をぜひ聞かせてくれれば、それでいいぜ!」
とニッコリ。電話番号も交換せず、「またどこかでねー!」と別れる。
マンションについたら、Aちゃん、意外とすぐに意識が戻った。テレビなんか見ながらおしゃべりした。でも二人とも酔っ払ってるから、おんなじようなことをお互い何度も繰り返してるだけで、あんま会話になってなかったと思う。

赤い花模様の布団をしいてもらって、二時頃就寝。
昼の十一時まで寝た。Aちゃん、制作会社プロデューサーなので、今日は出勤遅かったが、「撮影五時からよろしくお願いします」って、会社の人に電話入れてた。きっと夜が遅いんだ。みんな本当に偉いなあ。

代田橋の「沖縄めんそーれ商店街」を二人で歩いて、駅で別れる。「楽しい、楽しい、いい気分」とAちゃん上機嫌だった。
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by chigirayuko | 2009-02-17 03:00
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千木良悠子の日記です。
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