2009年 02月 15日 ( 1 )
7日目 (09/2/8)
コンビニで古谷実の「ヒメノア~ル」を購入。ドトールに入って、読んでたら怖くなってきた。
古谷実といったら、これは現代社会の闇が描かれているわけで、平和な日常生活も凶悪犯罪も、ほんとうは地続きの世の中なのだ。私もふらふらしてると、怖い目に合っちゃうのかな?
疲れた。どこかでゆっくり休みたい。もう家が恋しくなってきたよ。
頭の中が空回りして、動けないのは、きっとおなかがすいているからだ。
ミラノサンドCを食べてから、とりあえずドトールを出た。

これからどうするか考えなきゃ。
下北沢のネットカフェに行って、紅茶を飲みながらインターネットなど見る。
海のほうに行って、ホテルに泊まるのもいいな、などと益体もないことを考える。
先週、石橋さんに勧められた久坂葉子という詩人の文章を青空文庫で読んだ。涙が出そうになった。18才のとき島尾敏雄の紹介で文壇デビューし、21歳で自ら命を絶ったという詩人。家出が終わったら本を買おう。眠くて力がぜんぜん出ない。もう家に帰ろうかなと思う。

下北沢から歩いて、踏み切りを越えてエグザスの前を左に入れば家の方角なのだが、「うーん、ここで帰っても意味がない」と思い、右の坂を上がってしまう。私はさみしいだけなのかもしれない、見慣れた町並みのネオンに照らされると、少しホッとした。駅前の本屋で数人に電話。みんな、出ないなあ。Mちゃんが電話くれる。今日は先約あるからだめだって。「るるぶ」とか読んで、遠くに行きたい、というか立派なホテルに泊まりたいな、などと考えた。大きいベッドで寝たい!

どうしたらいいかわからなくなってしまったので、下北沢に事務所をかまえる友人Hさんに電話し、いっしょにご飯を食べてもらうことにした。おじゃがというお店で、ぶり照り定食を注文し、Hさんを待つ。私好みの選曲の店で、キャロル・キングやバート・バカラックなどかかっている。有線かな?Hさん来る。そのとき、さっき電話に出なかったRちゃんから、コールバックが来て、今日泊まっていってもいいと言われる。
「友達と車で横浜に行くから、うちを自由に使っていいよ。12時半にバイト先の店の前で待っててくれれば、うちまで送ってあげるから」だって。すごいぞ!しかし、Rちゃんのおうち、あまりにもうちの実家に近すぎる。本当に半径百メートルの家出だ。

Hさんに家出してると言ったら、とってもウケてくれた。「うまくすれば新しい本のネタになるかもね」だって。ジプシーや吟遊詩人、「まれびと」といった概念などと絡めて、リアル「家出のすすめ」本が作れるかもしれない、とまるでプロデューサーのように企画立ててくれる。
そういえば、自分のまわりにいるミュージシャンたちなんかは、みんな彷徨が三度の飯より好きだけど、あれは何らかの伝統にかなっているのかもしれない。芸人は旅をするものだし。
「私は、音楽でもフワフワした浮遊感のある曲が好き。やっぱり漂泊者にあこがれているのかも」というと、「地に足がついてないってことだろ」と一笑に付された。

Hさんと別れて、もう一度マンガ喫茶。時間をつぶす。
24:30にRちゃんのバイト先のスナックに行くと、彼女、緑色の着物を着た艶やかな姿で現れる。中でちょっと待っててといわれた。
Rちゃんのあまりの美しさに見惚れていると、隣の席に座っていたスナックのお客さん「田中さん」を紹介される。田中さん、「紹介されても困るよ」と言う。そりゃそうだ。田中さん、酔っ払っているようで、よく表情が読めない。怒ってるのかもしれない。私が全力で困っていると、そのとき、でっかい音で、H Jungle with t 『WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~』のカラオケが始まった!このご時世に小室!?
「せっかく来たんだから、いっしょに歌おう」
田中さんに呼ばれ、ステージのほうへよろよろと赴く。田中さん、マイクを完全に私とRちゃんに渡してしまい、手拍子しながらがなっている。ハンドクラップが上手に裏に入っていて、リズム感がいいぜ!YEY!「wow wow wow tonight」と、何べんも何百ぺんも言わされる。なにやってんだ!私、ダサいカーディガン姿で、何やってんだ!田中さん、手をくるくる回しながら、真っ赤な顔して踊っている。
曲が終わり、「じゃあ、帰りましょうか」とRちゃん。田中さんに会釈すると、にやりとされた。ちょっと喜んでくれているようでよかった。

着物姿のままのRちゃんと店を出ると、青い自動車がとまっていた。
運転席の男性に、私を紹介してくれる。「千木良ちゃん、趣味で家出をしているようで、今日はうちに泊まるから」。驚いている男の人。「ふふ、彼、割と普通の人だから、私はよく驚かせてしまうの」とRちゃん。
車で彼女の家へ。ビールなど出してもらう。
壁に、Rちゃんと友人一同の「2009年の目標」が貼られている。私も書くように言われる。
「わかった、今晩中に書くよ」
「頼んだよ。それが千木良さんの、今晩の家賃ね」
「高い家賃だなあ、おい」と男の人、笑っている。よく見ると、なんだか色っぽい男の人だ。話しやすいのに目線をはずすタイミングなどが絶妙で、怖い部分も持っていそうで、ふしぎな感じ。
「家出は何日めなの?」などと聞かれる。Rちゃん、会話のすべてがものすごく頭よさそうだ。緑の着物を脱いで、青いドレスに着替えている。美しいなあ。

美しい二人が出て行った後、私はひとりでたばこをすいながら興奮していた。壁に「千木良参上!Rちゃん大好きだ!」と大書きしたくなるほど、彼女をステキだと思った。このきれいなお家で、なんでも自由にしていっていいって。
ああ、目標なんて書こう?
壁に、雑誌から切り抜いたリンパマッサージのやり方が貼ってある、きれいなお風呂に入り、大きなベッドで体をのびのび、伸ばして眠った。
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by chigirayuko | 2009-02-15 02:58



千木良悠子の日記です。
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