2009年 02月 18日 ( 2 )
3日目 (09/2/4)
夜遅く、東中野のアパートに泊めてもらえることになった。
女性限定、お風呂、トイレ共同の古いアパートなのだが、これが入っただけでホッとしてしまうような、すばらしい住居なのだ。ガスストーブがあって、あったかくて、天国みたい。
「晩御飯の残りがあるよ。食べる?」
さばの味噌煮と、玄米おにぎりと、なめこのお味噌汁を出してもらう。私はこれほどまでにおいしい料理を、久しく食べたことがなかった。「うまい・・・」とつぶやいたら、
「料理したの、久しぶりなんだよ。かぎつけてきたんだね。家出の才能あるんじゃないの?」
と言われてしまう。
そっかあ、私、家出の才能があるんだ。自信持っちゃうぞ!ふふ!

寝間着を貸してもらって、布団を部屋中にたっぷり敷いて、寝っ転がってテレビ見た。
アンタッチャブルの山崎が、適当なことを言っていた。
アンタッチャブルの柴田は、動物の生態に関する豆知識を開陳していた。
家主さんは、看護師の資格を取るための学校に通っているそうで、夜中三時ぐらいまでレポートを書いていた。
翌日は朝七時起きだった。
みんな、全然寝ないんだなあ。私、いつも八~十時間くらい寝る生活をしてて、それが普通だと思っていたよ?
それでも、きちんと休めたようで、頭がスッキリして、肌つやも少しよくなったようだ。鏡を見ると、昨日の野良千木良感はいささか薄らいでいる。

東中野駅のホームで家主さんとお別れ。
「また来てね。今度は恋ばなとかしようね」だって。
また来てね、とみんな言う。私が泊まりにいって、楽しかったかな?また来てほしいと思っていただけたでしょうか? 毎回そう思わせられたら、本当に家出のプロだ。家出一本で生涯食っていけたら、それってすごいぞ、としばし夢想する。

中央線に乗ってなんとなく吉祥寺へ。サンマルクでコーヒーを飲む。
頭が空っぽで、余計な不安やさびしさや、居心地の悪さがどこにもない。こんなとき、走り幅跳びなどしたら、良い記録が出せそうだ。
ソファ席で居眠りしていた中年カップルが目を覚まして、イチャつきはじめた。なんて楽しそうなんだろう。「泥棒日記」を少し読んだ。主人公は、若いノン気の青年に一目ぼれをして、同棲をはじめたようである。
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by chigirayuko | 2009-02-18 03:03
4日目 (09/2/5)
大きい風呂にしみじみつかりたくなって、吉祥寺から井の頭線に乗って、高井戸温泉「美しの湯」へ。髪の毛を結ぶゴムを持ってなくって、片手でずっと髪を持ち上げながら苦労して風呂に入った。休憩所には二台テレビがあって、へんな昼のワイドショーと国会中継を同時に見ながら、しばし居眠り。食堂で牛肉そばを食べる。ピンをたくさん使って髪の毛を止め、二度めのお風呂に入った。昼なのに、浴室はけっこう混んでいた。

今回の家出、どういうルールになっているのか、自分の中でも曖昧なのだが、着替えをしに、ちょっとだけ家に帰ることにした。
メールの返信など、こまごました用事を済ませた。親が帰ってきて「ご飯食べてきなさいよー」と言ってくれたが、ふり払ってまた家を出る。

新たに持って行ったもの:髪の毛を結ぶゴム(これは重要だとわかった)、コンタクトレンズの容器。有吉佐和子の本「ぷえるとりこ物語」(買ったまま、読んでなかった本)、小さいブラシ(これも必要だと思った。髪ってほっとくとすぐにごしゃごしゃになる)。

小林エリカちゃんとご飯を食べる約束をしていたため、7時半ごろに表参道へ。
お酒の飲める、おいしいうどん屋さんを教えてもらう。おしゃれな業界の人にも好まれそうな、こじんまりした、居心地の良い店だ。
エリカちゃんとしゃべっていると、まるで自分まで大変な知識人になったような、高級な気分になる。この日は、今出ているユリイカの、水村美苗さん「日本語がほろびるとき」特集号に、エリカちゃんがマンガを描いているので、それについての話などした。
白子ポン酢、肉じゃが、焼き鳥、揚げ出し豆腐、ごまだれうどんなど食べ、瓶ビールを飲む。最後のほう、眠くなって、言葉が出てこなくなってしまった。
渋谷まで歩いて帰る。

渋谷駅で、演劇関係の友人に電話したら、羊屋白玉さんがNYから帰国して、今ご飯食べてるからおいでよ、と言う。羊屋さんに久しぶりに会える!私って本当に家出の才能があるのかもしれない。

千歳船橋の友人の家へ。「すごいタイミングで電話してきたねえ」と羊屋さん。
焼酎お湯割に、金柑の入ったのを出してもらう。
落語のCDがあったので、みんなでそれを聞く。贅沢な時間だ。羊屋さんおすすめの、春風亭柳昇「結婚式風景」と、柳屋喬太郎「寿司屋水滸伝」を聞いた。おもしろいなあ。今度みんなで寄席に行こうという話になった。よい時間で、羊屋さん帰る。
お風呂に入る。「明るくすると掃除あんまりしてないのばれるから・・・」とのことで、すごく高級そうなキャンドルの明かりの中、湯船につかって贅沢な気分だ。キャロル・フランクのアロマオイルも入れてもらって、いい匂い。
セックス&ザ・シティの映画版のDVDを見ながら、お布団を敷いた。
お布団ひとつしかないから、クッションを頭にしいて、斜めに並んで寝る事になった。
そうすると広く使えるのだ。
夜の三時頃、まだキャリーとビッグがよりを戻す前に眠りに落ちた。
翌日、家主さんは7時に起床、家を出ていった。みんななんて働き者なんだろう。私は昼すぎまで爆睡してしまった。家の中を、ペットのでっかい黒猫が走り回っている音で目が覚めた。
わーわー鳴いているので、「どうしたの?」と言って腹をがっしりと抱きかかえたら、グルグルグルと唸って、喜んでいた。触られるの大嫌いなうちの猫とは大違いで、うらやましい。
黒猫に別れを告げて、三時頃家を出た。
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by chigirayuko | 2009-02-18 03:02



千木良悠子の日記です。
by chigirayuko